「赤毛のアン」名言と花たち

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文学特集

前回、「赤毛のアン」のあらすじをご紹介しました。

今回は、物語のカギを握る名言と「花」に、注目してみたいと思います。

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作者のルーシー・モード・モンゴメリー(以下モード)は、物語に名言とともに、美しい花たちを展開させています。

これも、読み応えのあるものです。

   

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食べるための花たち

最初に、アンがカスパート家のグリーンゲーブルズに行く途中、小道の両脇に白いリンゴの花が咲き誇っていました。アンはここを「輝く白い道」と名付けます。

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男の子じゃないので引き取れない、と言われて泣きながら眠った翌朝、アンは窓のそばに大きな美しい桜の花をみつけて有頂天になります

「雪の女王」と名付けて、マリラに「なんて素晴らしいの」と言います。ところがマリラは「実が小さくて虫食いで」と文句を言います。

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つまり観賞用の桜ではなく、サクランボを採るためのものなのですね

6月、北の島は、まさにリンゴも桜も花盛り。
リンゴの花は、サクラと同じバラ科です。大きくてとても美しい花。

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そんな花たちで目覚めた朝、アンは言います。

「朝っていいわ。その日なにが起きるか、希望がわくから」と。

そう、明けない夜はないのですね。

でもリンゴにしてもサクラにしても、この島の人たちにとっては、見る花ではなく「実を食べるための花」なのです。

リンゴはアンの物語にちょくちょく顔を出します。

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白い LILY の意味

マリラとマシューに引き取られた早々、アンはレイチェル・リンドに食ってかかります。

それは、リンド夫人が「ニンジンみたいに赤い髪」と言ったからです。

アンは自分の赤い髪がとくにコンプレックスなので「ニンジン」と言われたことに火がついたように怒ったのです。でも失礼なことは確かなので、マリラと一緒に謝りに行きます。

仲直りしたリンド夫人から「庭のを摘んで花束をつくりなさいな」と言われます。

美しい花をもらったアンは「謝るのって、気持ちいいわ」と言います。

この花は「ナルキッソス」、ヨーロッパに春咲く「白水仙」です。

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この白水仙は、花のすべてが真っ白で、強い香りを放ちます。

では、LILY-百合(ゆり)は、とんな場面で登場するのでしょうか

アンが気まぐれな教師の犠牲になるときです。

野原での遊びから急いで席に着いたとき、アンは百合の花を頭に飾ったままでした。それに目をつけられて、ギルバートの隣に座るように教師から言いつけられます。

なんとギルバートは、初対面でアンを「ニンジン」とからかった天敵です。アンはその日以来、学校へ行くことを拒否します。

このときのアンの怒りを、モードは「テンペスト」と表題しています。

日本語に訳せば「嵐」なのですが、これもシェークスピアの戯曲のタイトルです。

しかも「父と娘」の復讐劇。モードの亡き父に対する思いは、深いようです。

百合は、キリスト教では聖母を象徴する花です。純粋さや深い愛情や、殉教など、さまざまなことを暗示しているように思えます。

   

赤毛と黄色とピンク

アンは、美意識の高い子です。とても美人だと思います。でも、女の子って、必要以上に自分を醜く感じてしまうものです。

とくにアンの場合、「赤毛」が大問題。それを言うリンド夫人にしてもギルバートにしても、とんでもなく失礼な人、と思ってしまいます。

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女の子にとって「どうでもよくないこと」があるのです

それが人からみたら、些細なことであっても。

モードがアンの物語を初めて発表する前、フランスでルナールの「ニンジン」が出版されました。

「ニンジン」と呼ばれる赤毛で内気な男の子が、実母に嫌われつつも父親に理解され、育っていく話です。

男の子はおとなしいのに、同じ赤毛でも、女の子のアンは「ニンジン」と言われると反撃する。そのあたりの面白さも、当時の読者にはあったのかもしれません。

アンの美意識の高さを示すのが、「日曜学校とアン」の下り。マリラが持病の頭痛で教会の日曜学校に連れていけず、アンが一人で行きます。

なんだか危険な予感。でもアンは事件を起こしません。ただひとつを除いては。

それは、アンが麦わら帽子に飾ったキンポウゲと野ばら

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マリラの用意したワンピースが上質であったのに、アンにとっては地味だったから。

そこでアンは、教会へ行く道すがら、花を摘んで帽子に飾るのです

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それが人の口からマリラに伝わって、お叱りを受けます。

そのときのアンの言い訳「そうなのよ、ピンクと黄色は私には合わなかったわ」

これじゃあ、マリラは肩透かしです。「そこかい、反省点は」て感じ。赤毛と、黄色とピンク、たしかにヘン。野にあれば美しい花たちです。

アンの欲しかったちょうちん袖のワンピース(流行りました子どものころ)は、マシューが買ってきてくれます。死ぬ思いでデパートへ行って。

自然を愛し花を愛し、それが生活のなかにある。

作者モードは、こういう暮らしを大切にしていたのですね。

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まだまだ、自然とアンの物語は進行しますが、今回はこのあたりで。

世界中のみんなが、そのその場その時、幸せであることを、この物語を読むと、ひとしお願います。

前編はこちら↓
赤毛のアン、 あらすじを簡単に。重なる「アンとモンゴメリ」

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